城旭斎 浄海によって感染したシンプルプランは実はただのインフルエンザウィルスだった。
しかし当麻たちSPECホルダーたちに特効の特別なインフルエンザに改良されており、タミフルなどの治療薬が一切効かないウィルスだった。
当麻は城旭斎が感染して始末されたことから、プロフェッサーJが別に存在することに気付く。そして、プロフェッサーJが湯田=JYUDA(ゆだ)だったことにたどり着く。
急いで湯田が入院する警察病院に電話する瀬文であったが、すでに遅かった。御前会議によって隔離されていたSPECホルダーたちを皆殺しにされていたのである。
警察病院での惨状を目の当たりにした当麻は封印していた自らのSPECを解放し、その左手によって冥界の門を開く。そこから現れたのは、これまで殺されてきたSPECホルダーたちの悪霊たちだった。
ヤタガラスに姿を変えた悪霊たちは、世界中を飛び回り、壊滅させていく。
それらの様子を警視庁の屋上の電波等から見回す瀬文と吉川。
「どうなってんだよ、これは?」
「当麻が呼んだ悪霊たちだ…」
「悪霊とは失礼な、霊体と言ってくれないか」
瀬文の背後から声が響く。
「!?」
振り向くとそこには白い服を着た男−セカイとその横には潤がいた。
その瞬間、潤は、白い服を着た女へと成長した。
「なんだよ、お前らは…」
「もとは人間さ、今では「「神」と呼ばれることもあるが。」
そう言うと、潤は耳をつまんだ。
「古戸?」
瀬文がそう直感した瞬間、吉川が吹き飛ばされていく。
「吉川!てめぇ!」
「うるせぇんだよ!後からきた侵略者のくせによ!」
「なんだと?」
「国や宗教や人種で差別したがる欲望の塊。お前らにそんな権利ないんだよ。何か文句ある?」
「文句はねぇ。しかしその体は里子の子のものだ。返しやがれ。」
「あっそう。じゃあその銃で撃てば?そしたら私は霊体で出て行くから!」
そういって潤は手を広げた。
「撃たないで!タケル!」
そこへ里子が駆けつけた。
「やれやれ…裏切っていたのか。」
セカイはそうつぶやくと指を鳴らした。その瞬間世界の時は止まった。
「人間の子として生まれて情でも移ったか?」
「別に、そんなんじゃないわよ。」
「ふっ」
再び古戸のSPECで瀬文を吹き飛ばす潤。
そこにヤタガラスとともに当麻が現れた。
当麻の左手に次々と吸い込まれるヤタガラス。当麻は悪霊であるヤタガラスを生者として転生させる道具だったのである。
セカイ、潤、そして湯田も加わり、当麻の左手に吸い込まれようとした、そのとき、セカイが気付く。
「当麻、お前気づいているのか?」
次々とヤタガラスが変化し、当麻の周りに集まる。
ニノマエ、冷泉、サトリ、地居、海野、美鈴、マダム陰陽…
「お前ら…」
「お前たちのやってることは、すべてくるっとまるっとお見通しだ!」
「やれやれ、しょうがない。一からやりなおしだな。」
そう言ってセカイは右手をかざし、次々とニノマエたちを消していく。
当麻も消されようとする瞬間、左手のSPECで餃子ロボを呼び出し、鏡で反射させ、逆にセカイたちを消し去った。
そこへ卑弥呼と呼ばれる仮面の男が現れた。
「当麻よ、その右腕を使え。そして平行世界へ扉を開き、野悪霊たちとともに地獄へ来るがよい!」
「この右腕で…」
次の瞬間、当麻の体からセカイと湯田が飛び出した。
「残念だったな。俺たちはもともと霊体だ。消し去ることなんてできないんだよ。」
「ちくしょう!」
そう言って当麻は右腕をかざした。
「うおおおお」
全ての悪霊とセカイと湯田を吸い込んでいく。
そして左手のSPECを使い、冥府への門を開こうとする当麻。
「残念だったな、当麻。この体は、俺たちが使わせてもらうよ」
思うように動かせなくなる当麻。
「はははは!すぐにここから出てやる!」
「うう…瀬文さん!」
その言葉を聴いてか、瀬文が現れる。
「お願いします。瀬文さん…」
「…当麻、、来世で待ってろ…」
銃の引き金を引く瀬文。次の瞬間、当麻の頭は撃ち抜かれ、世界は平行世界へと繋がった…。
瀬文はその世界で警官殺しとして収監される。
その世界には当麻は初めから存在していなかった。
しかし瀬文だけは知っていた。当麻が確かに存在していたことに。
「世界が時折巻き戻されていることに気付くものはいないようだな。当麻以外は。」
「当麻はその無間地獄にいるわけか。」
「そして再び歴史は繰り返す。波の行く先のように。」
「行きましょう、朝倉。」 |